出典:女神の教室~リーガル青春白書~3話
妙香、人間の世界には黙秘権というのがあるんだな。
都合の悪いことは喋らないということか?
基本的にはそうかな。
でも、ずっと口を閉ざして黙ったままでは、
相手には何も伝わらないよね。
言葉と思いのコントロールが大事かも知れない。
出典:女神の教室~リーガル青春白書~3話
ある裁判についての見解を求められたのだ。
被告人は証拠不十分で無罪となった案件だが、
風見は被害者の証言に信ぴょう性があると思っていた。
しかし、雫は裁判を見聞きしていないので発言を控えた。
その翌日、生徒たちの実務実習のテーマは黙秘権だった。
真中・天野・水沢が肯定側、桐矢と照井が否定側となり、
白熱したディベートが開かれる。
その中で照井は、犯罪加害者に対する強烈な嫌悪感を示すのだった。
おもな登場人物(敬称略)
出典:女神の教室~リーガル青春白書~3話
青南大学法科大学院(教員)
柊木雫(北川景子)
東京地裁の裁判官。教員として派遣される。
藍井仁(山田裕貴)
エース教員。司法試験に勝つための講義を行う。
青南大学法科大学院(学生)
照井雪乃(南沙良)
厳しめの学生。雫の講義になじめない。
真中信太郎(高橋文哉)
人権派弁護士を目指す学生。表と裏のある性格。
桐矢純平(前田旺志郎)
お調子者の学生。検察官になることが目標。
水沢拓磨(前田拳太郎)
寡黙な学生。バイトと勉強の両立で苦労する。
天野向日葵(河村花)
やる気のない学生。水沢のことを気遣う。
青南大学法科大学院(指導者)
守宮清正(及川光博)
学院長。雫の学生時代の恩師。
雫の同期
横溝太一(宮野真守)
検察官。東京地検公判部所属。
安藤麻理恵(佐藤仁美)
弁護士。桐矢の悩み相談に乗る。
その他の人々
風見颯(尾上松也)
警視庁捜査一課の刑事。ある事件の裁判について雫の見解を問う。
女神の教室~リーガル青春白書~3話の感想
出典:女神の教室~リーガル青春白書~3話
都合の悪いことは喋らなくていい?
黙秘権。
法律に疎い私たちでも、
わりとよく聞く言葉ですよね。
家族や友だちとケンカして旗色が悪くなった時、
思わず黙り込んでしまうと、
「また黙秘権使ってる!」なんて言われるじゃないですか。
でも、黙秘権の本当の意味は、
この話を観るまでぜんぜん知りませんでした。
憲法第19条では「思想・良心の自由」が謳われています。
「思想及び良心」というのは、
個人がもつ世界観、人生観、主義、主張などの、
内面的な精神活動のことをいいます。
その人が、日々、どう考えているのか、
どのような思想を持っているか、それは自由だということです。
そして、この「思想及び良心の自由」は、
個人の内心にとどまる限りは、絶対的に保障されるとされています。
つまり考えているだけなら、
どんなことでもOKなんですよ。
心の中にある感情にはプラスもマイナスもあります。
人間は流されやすい生き物ですから、
始終プラスというわけにはいかず、
時には悔しかったり、
悲しかったりすることもあるでしょう。
問題なのはそのマイナスの感情を、
犯罪行為として実行してしまうことなんですよね。
その犯罪者に処罰を与え、
場合によっては更生させるのが法律です。
そして黙秘権はその法律の中のひとつなんです。
黙秘権の一般的なイメージは、
加害者にとって都合のいい法律と思われますが、
その実態はちょっと違うんですよ。
黙秘権に関しての第2回ディベートで、
肯定派に回った桐矢はこのように言いました。
何が正解か答えが分からない世界で、
それでも一つの真実に近づくためには、
それぞれが同じ土俵で、
同じ武器を持って戦う必要があるんです。
武器とは法律です。
法律家は法律をその知識として持ってます。
その武器を手に、
検察官と弁護人は戦うことができるのです。
しかし、被告人にその知識は必ずしもありません。
だから被告人にも黙秘権という武器を与えるべきなのです。
そうでなければ、相手から武器を奪わない限り勝てないという、
法律家の敗北を意味するからです。
引用元:女神の教室~リーガル青春白書~3話(桐矢純平のセリフ)
さらに藍井はこのように言いました。
黙秘権は被告人を守るためだけではなく、
冤罪を防ぎ、法律家を犯罪者にしない権利でもある。
引用元:女神の教室~リーガル青春白書~3話(藍井仁のセリフ)
被告人を守るためだけでなく、
彼らを裁く法律家を守るものであるとは、
本当に目から鱗ですね。
江戸時代の刑法では、
悪いことをやった人には厳しい処罰が与えられ、
冤罪であろうとなかろうと、
お上に逆らうことは絶対にできませんでした。
しかし現代では冤罪を生み出さないために、
慎重な審理が行われるようになり、
公平な裁判のために黙秘権が使われるんですよ。
なんだか、難しい話になってしまいましたが、
「言いたくないことは喋らない」が、
黙秘権の基本ルールです。
天野に恋する桐矢は、
彼女と水沢がいい感じなのが気になって、
水沢に「向日葵ちゃんのことどう思う?」と聞きましたが、
なんと黙秘権を行使されてしまいました。
黙秘権というのは、
ドラクエにおけるアストロンのようなものなんでしょう。
照井と無罪判決事件の関係は?
今回は照井の意外な一面が描かれました。
彼女はディベートの授業の時、
加害者に対する怒りを露わにして、
雫たちを驚かせましたが、
過去にトラウマがあるのかも知れません。
捜査一課の風見は、
人気塾講師が無罪になった事件を、
いまだに調べていますが、
照井はおそらく、その事件の関係者なんでしょうね。
彼女自身が被害者なのか。
それとも家族や友だちが被害を受けたのか。
現状では何も分かりませんが、
彼女の性格がかたくなになったのは、
事件が深く関係していると思います。
だから彼女は検察官になることを強く望み、
青南ローに在学中に合格したいと考えてるんです。
しかし、そのためには、
雫の行う実習は不必要なものでした。
藍井は成績を絶対視する教師ですし、
司法試験は覚えることが山のようにあるので、
照井にとって、雫の授業は合わないんでしょう。
桐矢を応援するようなコメントをしていたので、
雫に対して反旗を翻したのは残念ですが、
トラウマを払拭できるキッカケが見つかるといいですね。
いままではちょっと苦手でしたが、
今後は彼女のことも応援して行きますよ。
女神の教室~リーガル青春白書~3話の名言
出典:女神の教室~リーガル青春白書~3話
柊木雫①
法律の世界では常識であることが、
一般社会からすると、非常識に思えることがある。
黙秘権はその典型であり、
常識の逆転現象とも言われている。
黙秘権ってさ、本当に必要なのかな?
柊木雫②
みんなが心の中で何を思うかは自由だし、
それをどんな理由があろうと、
国家権力が侵してはならないという考えを、
私は正しいと思ってる。
自分の思いを持つことは、
人がモノではなく人であるために、
絶対に必要なことだから。
藍井仁①
熱血教師を気取るのはそちらの勝手ですが、
ここはロースクールです。
学生たちの悩みに寄り添う。
それで学生たちは救われるんですか?
プライベートにまで首を突っ込むべきではない。
藍井仁②
当たり前に存在する権利を考えること自体、
まったくもって無駄なことだ。
それをわざわざ、授業で議論するなどありえない。
ただ、憲法第19条。
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
同条は個人の内面の自由を保障している。
内面の自由は人間の根幹そのものであり、
国家による制限を受けない絶対的な自由だ。
黙秘権はこの内面の自由を保障するために必要な権利。
そうである以上、見解については彼女・・・
柊木先生の意見に全面的に同意する。
照井雪乃①
被害に遭った方は、
そのことでずっと苦しみ続けるのに、
人の人生を奪った加害者のほうが、
黙秘権を理由に守られるなんてことが、
あっていいんでしょうか?
照井雪乃②
だったらいいんじゃない?
検事になりたいんだったら、
なるべきだと思う。
司法試験に合格すればの話だけど。
桐矢純平
俺さ、子供のころ背が低くて、
ケンカしても同級生に勝てたことがなくてさ、
その頃、テレビで見た検察官がさ、
すっごく悪そうな被告人に、
それがまたでっかいヤツなんだけど、
そんなの相手ビシバシ悪事を追及しててさ、
それが最高にカッコよくて、
力じゃなくて言葉で戦えるって、
いいなって思って。
横溝太一
僕が検事として法廷に立っていられるのは、
向こう側に弁護人がいるからなんだ。
お互いがあらゆる手段を使って、
本気で戦って出した答えなら、
限りなく真実に近いと思えるからね。
検事と弁護人は敵であり味方なんだよ。
守宮清正
当たり前にあるものを何も考えずに使うのと、
意味までしっかり理解した上で使うのとでは、
雲泥の差がありますよね。
公判の見学も実務を重視する彼女らしいですよね。
学生たちも厳しい現実を知った上で、
それでも法律家を目指すようであれば、
その思いは本物ですから。
女神の教室~リーガル青春白書~3話の基本情報
出典:女神の教室~リーガル青春白書~3話
- 本放送日:2021(令和5)年1月23日
- 脚本:大北はるか
- 音楽:武部聡志
- 演出:澤田鎌作
- 制作著作:フジテレビ
- 視聴率:7.0%
最後まで読んでくれて、ありがとな。
またのご訪問をお待ちしています。