妙香、金色の虹を見たことはあるか?
見るといいことがあるかも知れないぞ。
それって地底怪獣パゴスのことじゃないかな。
金色の虹はキレイだけど、
分子破壊光線だから気をつけて!
その花が咲けば禍のしるし。
つまりとんでもない悪い大事件が起こると、
昔から言い伝えられているサザメダケ。
真っ白な花が咲いた時の話です。
(ウルトラQ18話オープニングナレーション)
ウルトラQ18話のあらすじ
ウラン輸送のトラックが事故に巻き込まれた。
現場調査に向かった万城目たちは、大雨や地震が原因だと考えるが、
雨は降っておらず、地震が起きた形跡もなかった。
そんななか「たんぽぽ団」のピー子が真っ白な花を見つける。
お婆ちゃんはそれを「サザメダケ」だと教え、
さらに「虹の卵」を見つけると、願いごとがかなうと言った。
ピー子は大喜びするが「サザメダケ」には不吉な噂があった。
万城目たちは一命をとりとめたトラック運転手を見舞った。
運転手は事故に遭った時、空に「金色の虹」が出ていたという。
だが、それは恐るべき怪獣が出す光線だった。
おもな登場人物(敬称略)
万城目淳(佐原健二)
星川航空のパイロット。怪事件に真摯に向き合う好青年。
戸川一平(西條康彦)
万城目の後輩。おっちょこちょいだが、たまに鋭い勘を発揮。
江戸川由利子(桜井浩子)
毎日新報のカメラマン。怪獣を恐れずに写真を撮る。
ゲスト出演
糸魚川博士(城所英夫)
中性子学の権威。ニュートロンミサイルを開発した人物。
ピー子(白川ひかる)
タンポポ団のリーダー。お婆ちゃんが大好き。
お婆ちゃん(春江ふかみ)
ピー子たちにサザメダケと虹の卵の言い伝えを語る。
登場怪獣(地底怪獣パゴス)
学名はパゴタトータス。
パゴスは略称で、ウランを主食にしているんだ。
最初は中国の北京に出現した。
「シン・ウルトラマン」の冒頭では、
敵性大型生物第6号として紹介されたぞ。
ウルトラQ18話「虹の卵」の感想
ウランの扱いは慎重に
ピー子率いる「タンポポ団」の子供たちが、
大好きなお婆ちゃんを助ける話です。
お婆ちゃんは物静かで、頭のいい女性なんですが、
足が不自由で車いす生活でした。
昔はピー子たちと苺摘みをしていたので、
「タンポポ団」は誰もが、
お婆ちゃんに元気になってほしいと思っていました。
でも、この話。
すごくもったいないんです。
何故ならピー子が、
ウランカプセルを「虹の卵」だと思っていたからです。
一台のトラックが濃縮ウランを詰めたカプセルを積んで、
産業都市近くの原子力発電所を目指していました。
しかし、トラックは怪獣パゴスに襲われ、
ウランカプセルは行方不明になってしまったんですよ。
子供が夢見る「虹の卵」ではないですよね。
まったく放射能対策もせずに、
ウランを輸送するなど危険極まりないですが、
ピー子が真剣になってウランカプセルを引っ張っていたので、
大丈夫なのかと冷や冷やしました。
結局、子供たちは何の被害も受けず、
お婆ちゃんの足も治って「めでたしめでたし」だったんですが、
リアリストの万城目は最後まで複雑な表情でした。
虹の卵が綺麗な心の中に生まれるものなら、
もう少しロマンチックな展開にしてほしかったですね。
ウランの扱いは慎重にしましょう。
竹の花の開花は不吉じゃない
ピー子はトレードマークの帽子に、
サザメダケの花を飾っていましたが、
この花が咲くと不吉なことが起きるといいます。
でも、サザメダケは実際にはない品種です。
竹の花が不吉と言われる理由は、
めったに咲かないことと、
一斉に開花してすぐに枯れてしまうからなんです。
優しいお婆ちゃんは子供たちを悲しませないために、
サザメダケの花と「虹の卵」を見つけると、
どんな願いでも叶うと言いました。
サザメダケの花は不吉じゃないので、
当たらずとも遠からずですね。
因みに竹の開花は120年周期で、花言葉は「節度」です。
英語では「強さ」「忠誠」「不動」といって、
なかなかカッコいいんですよ。
天変地異や歴史の大激動は、
自然破壊や政治が深く関わってくるので、
竹の開花とはあまり関係ないと思います。
糸魚川博士がカッコいい
やや辛口な感想になりましたが、
中性子学の世界的オーソリティ糸魚川博士は、
非常にいい味を出していました。
ネオニュートロンミサイルでパゴスを撃破したのは、
最高にカッコよかったです!
でも、どうせなら、
万城目たち3人と糸魚川博士をメインにして、
放射性物質を捕食するパゴスとの戦いをシリアスに描いたほうが、
緊迫感が出て面白かったと思います。
糸魚川博士を演じていたのは城所英夫さんといって、
1961(昭和36)年からTBSで放送された、
「七人の刑事」の中島刑事役で有名な方なんです。
平田昭彦さんといい、城所英夫さんといい、
昭和の俳優さんは品のあるハンサムな方が多いですね。
ウルトラQ18話の基本情報
本放送日:1966(昭和41)年5月1日
制作順:21
脚本ナンバー:24
脚本担当:山田正弘
音楽:宮内國郎
番組ナレーション:石坂浩二
登場怪獣、宇宙人:地底怪獣パゴス
特技監督:有川貞昌
監督:飯島敏弘
視聴率:28.9%
最後まで読んでくれて、ありがとな。
またのご訪問をお待ちしています。