【ネタバレ注意】映画シン・ウルトラマン感想(2)ゾーフィと天体制圧用最終兵器ゼットン

あんのん君

妙香、シン・ウルトラマンは113分の映画だが、
内容はめっちゃ濃かったよな。

岩松妙香

そうだね。
とくにクライマックスは本当に凄かった。
記事を2つにしないと、感想が書ききれなかったよ。

目次

【シン・ウルトラマン】(2)のあらすじ

禍特対はウルトラマンの協力で禍威獣ネロンガとガボラを駆除した。
安心したのも束の間、禍特対本部に外星人ザラブが現れる。
ザラブは友好を装っていたが、目的はウルトラマンの抹殺だった。
その罠に落ちた神永新二は浅見弘子に助けられ、
ウルトラマンはザラブの計画を挫くことに成功する。
そんななか、田村班長らの前に人間体の外星人メフィラスが出現した。
メフィラスはベータ―ボックスを日本政府に供与するというが、
「人類を自分の管理下に置く」という野望を持っていた。
ウルトラマンは人類を守るためにメフィラスと戦うが、
光の星の裁定者・ゾーフィが地球にやってきていた。

おもな登場人物(敬称略)

禍威獣特設対策室(通称:禍特対)

神永新二(斎藤工)
作戦立案担当官。ウルトラマンに変身する。

浅見弘子(長澤まさみ)
分析官。神永のバディだが単独行動に振り回される。

滝明久(有岡大貴)
非粒子物理学者。特撮作品の模型が好き。

船縁由美(早見あかり)
汎用生物学者。ストレスが溜まるとお菓子を食べる。

田村君男(西島秀俊)
班長。机の上にKATO太くんを置いている。

宗像龍彦(田中哲司)
室長。政府や外星人との交渉に当たる。

政府関係者

大隈泰司(嶋田久作)
総理大臣。禍威獣や外星人の出現に頭を悩ませる。

小室防災大臣(岩松了)
大隈内閣の閣僚。人物眼に長けた政治家。

加賀美(和田聰宏)
神永の元同僚。警視庁警備局公安課に所属。

外星人

ザラブ(CV:津田健次郎)
外星人第2号。友好を結ぶ振りをして日本政府を騙す。

メフィラス(山本耕史)
外星人第0号。日本文化や名言に詳しい。

光の星

ゾーフィ(CV:山寺宏一)
裁定者。人類に対して非情な決断を下す。

リピア(CV:高橋一生)
ウルトラマン。神永の行動に感動して人類を守り続けた。

巨大人型生物ウルトラマン(仮)

ミケちゃん

時速1万2000キロのスピードで、
地球にやってきた外星人です。
身長60メートル、重さ2900トンの巨人です。
子供を助けようとしていた神永を死なせてしまいますが、
人間の行動に興味を抱いて彼と融合しました。
神永はベータ―カプセルを使ってウルトラマンに変身します。
当初は全身が銀色でしたが、
神永と融合してからは赤いラインが身体に入りました。
禍威獣と戦って消耗すると赤から緑に変わります。

【シン・ウルトラマン】の感想(2)外星人来襲~人類滅亡の危機

前回の感想は禍特対の成り立ちと、
禍威獣との戦いがメインだったので、
ウルトラ初期の歴史について簡単に説明しました。

あんのん君

シン・ウルトラマンが面白くなるのは、
外星人たちが暗躍するあたりからだ。
めちゃくちゃ長い記事になるが、読んでみてくれ。

ザラブとにせウルトラマン

外星人第2号ザラブは、
何の前触れもなく禍特対本部に現れました。

ザラブの身体からは強力な電磁波が出ていたので、
船縁や滝が使っていたパソコンのデータが消えてしまいます。

仕事ができなくなると思いきや、
ザラブは謝罪してデータを復元しました。

彼の目的は「地球と友好協定を結ぶため」だったからです。

政府の首脳たちは外星人を味方につければ、
世界各国より優位に立てると考えます。

そこで大隈総理はザラブとの友好協定を結びました。

しかし、ザラブが提唱した友好条約は、
地球にとって不平等なものでした。

ザラブは最初から人類を見下していたんです。

高度な認知力と科学力を有していながら、
未成熟で無闇に増殖する秩序の無い危険な群体。

そんなザラブの真の目的はウルトラマン抹殺でした。

神永新二はザラブの催眠術にかけられ、
あっけなく拉致されてしまいます。

数日後、信じられないことが起こりました。

ウルトラマンが横須賀の街に現れて、
港や町を破壊しはじめたんです。

何も知らない政府関係者はすっかり騙され、
人物眼のある小室防災大臣も、
ウルトラマンを敵だと思ってしまいました。

禍特対の田村班長の心中は複雑でした。

神永が変身する動画がネットに公開されており、
浅見弘子の分析でフェイクでないことがわかっていたからです。

とはいえ、秩序を乱す者と戦うのが禍特対の使命なので、
田村班長は出動命令を下します。

神永はザラブのアジトに監禁されたままでしたが、
浅見によって助け出されました。

浅見「一つだけ教えて。あなたは外星人なの?それとも人間なの?」
神永「両方だ。あえて狭間にいるからこそ見えるものもある」

浅見によって助け出された神永はウルトラマンに変身し、
にせウルトラマンに化けたザラブを倒しました。

メフィラスとベーターボックス

神永は「ウルトラマンの男」として知られてしまったので、
しばらく身を隠すことになりました。

同じ頃、いつもは仕事を休まない浅見が、
無断欠勤してしまいます。

田村班長が不思議に思っていると、
ある情報を知らせる電話がかかってきました。

「浅見が巨大化して丸の内に出現した」というのです。

にわかには信じられない話ですが、
禍特対は状況を確かめるため現場に向かいました。

電話の情報は本当でした。

巨大した浅見はビジネス街で暴れて、
ビルを破壊してしまったんです。

何も知らない自衛隊は敵だと思い、
巨大化した浅見を攻撃しようとしますが、
田村班長に止められました。

すると、どこからか男の声が聞こえてきました。

そうです。彼女に対する攻撃はやめた方が賢明です。
これは私のデモンストレーション。
この星の原住生物であるあなた方人類への、
プレゼンテーションの一環に過ぎません。

浅見を巨大化させた犯人は、
紳士な外星人第0号メフィラスでした。

でも、メフィラスは壮大な野望を持っていたんです。

人類にベータ―ボックスを与えて生物兵器に転用し、
自らの軍事力とすることだったんですよ。

ベータ―ボックスによって巨大化した生物は、
質量に任せて攻撃しても、かすり傷さえ付かないからでした。

「郷に入っては郷に従え」私の好きな言葉です。
ウルトラマンと直接、
接していたあなた方を交渉の窓口としたいと思いまして。

メフィラスは言葉巧みに日本政府に取り入りました。

弱腰な政府は外星人にすがりたいと思っていますし、
丁寧な紳士の言葉を信じてしまったんです。

さらにウルトラマンも味方につけたいメフィラスは、
神永を居酒屋に誘いました。

結局、神永新二とメフィラスの考えは平行線だったので、
話し合いは物別れに終わってしまい、
2人はベータ―ボックスの扱いをめぐって戦うことになります。

ところが、ウルトラマンとメフィラスの戦いは、
決着がつきませんでした。

光の星からの使者が地球に来ていたからです。

「彼」の姿を見たメフィラスは、
ウルトラマンからベーターボックスを受け取ると、
「さらば、ウルトラマン」と言って地球から去って行きました。

ゾーフィの非情な決断

メフィラスが持参したベータ―ボックスは、
人類をウルトラマンと同じように巨大化させるものでした。

世界人口は79億です。

もし人類全員が「生物兵器」になったら、
地球はとんでもない規模の軍事大国になるでしょう。

その軍事力をほしいと思う星もあれば、
危険だと思う星もあります。

宇宙には地球を監視する存在がありました。
それが光の星です。

光の星はウルトラマンの故郷ですが、
宇宙の秩序を乱す存在に対しては厳しい措置を取るのでした。

ゾーフィは本星からの命令を忠実に実行するため、
地球に対して非情な決断を下します。

光の星が確認している知的生命体は130億近く存在する。
その中の一つが消えたところで、
宇宙は何も変わらない。
無駄な抵抗はやめ、静かに人類の粛清の時を待て。

光の星が人類を危険視したのは、
巨大な「生物兵器」として使えることが、
マルチバース全体に知れ渡ってしまったからでした。

さらに進化の仕方によっては、
ウルトラ族と同じようになる可能性もあったからです。

危ない芽は早いうちに刈り取ったほうがいい。

これは覇権主義者が好むロジックですが、
光の星は宇宙の広範囲を治める超大国なんでしょう。

ゾーフィは地球を廃棄処分にするため、
天体制圧用最終兵器ゼットンを起動しました。

ゼットンの火球は1兆度

ゼットンは1テラケルビンの超高熱火球を発射します。
1テラケルビンとは1兆度を表す単位でした。

今より自立プログラムに切り替える。
システムが整い次第、人類は恒星系ごと滅却される。

恐るべき火球の威力は地球だけでなく、
太陽系の惑星もすべて焼き尽くし、
さらに数光年先の星まで燃やしてしまうんです。

空に浮かぶ十字架のようなゼットンを見て、
人類は「地球最後の日」が近いことを知るのでした。

滝明久が導き出した希望

世界は滅亡まで秒読みとなってしまいました。

日本政府は「何もするな」というだけで、
これといった指示を出しませんでした。

打つ手がまったくないので、
座して死を待つしかなかったんです。

ウルトラマンはそれでも諦めず、
果敢にゼットンに挑んで行きました。

しかし、規格外の強さを持つゼットンには勝てず、
ウルトラマンは敗北してしまいました。

人類滅亡の時が刻一刻と迫り、
有効な対策が見つからない滝はヤケ酒を飲みます。

とうとう「生物の世界は弱肉強食が基本ですよ」と吐き捨てました。

ストレスに弱いはずの船縁は、
必死にゼットンの弱点を探していました。

そして自暴自棄になった滝を諭したんです。

人類は弱い。
だけど生き延びたいから強くなる。
そのための智恵と勇気なのよ。

これはチャールズ・ダーウィンの名言に通じるセリフです。

強い者、賢い者が生き残るのではない。
変化できる者が生き残るのだ。

24億年前と7億年前の地球は、
全球凍結(スノーボールアース)という事態に見舞われました。

また2億5000万年前の地球では、
95%の生物が絶滅するという大惨事がありました。

酸素の乏しい過酷な環境を生き抜いた種族は、
進化を繰り返して発展を遂げます。

そうした先祖のDNAを受け継いでいるからこそ、
土壇場に立たされた人間は底力を発揮できるんです。

滝明久は神永から、 ベーターシステムの基礎原理と、
高次元領域に関する数式を記録したUSBを預かっていました。

ウルトラマンは万能の神ではない。
君たちと同じ命を持つ生命体だ。
私は君たち人類に期待する。

希望を見出した滝明久は、
世界中の識者に呼び掛けて「ゼットン攻略国際会議」を開きます。

そしてプランクブレーン(異次元空間)にゼットンを飛ばすという、
画期的な解決策を導き出すのでした。

罪を背負っていたウルトラマン

ウルトラマンが光の星の裁定に抗うことは、
同胞全員を敵に回す可能性がありました。

でも、彼は地球に降り立った時に、
すでに掟破りをしていたんです。

人間との融合です。
光の星では絶対的禁忌とされることでした。

ウルトラマンはその時の衝撃波で、
神永を死なせてしまいました。

不幸な事故でしたが、
見ず知らずの子供を助けようとした神永の行動に興味を持ち、
人間を深く知りたいと思うようになったんです。

ウルトラマンが禍威獣や外星人と戦ったのは、
ひとりの人間を死なせてしまった贖罪の気持ちでした。

それに地球は光の星ほどの科学力を持っていないので、
「自分がいないと滅びてしまう」と思ったんでしょう。

ウルトラマンは何としても人類を守りたいと言いました。

最凶最悪のゼットンを倒したことで、
地球はますます外星人の脅威にさらされるからです。

ゾーフィはウルトラマンを光の星に連れて行こうとしますが、
ウルトラマンは「自分の命を神永に与えてほしい」と頼みます。

そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。

光の星の裁定者であるゾーフィは、
ゼットンを破る策を思いついた人類の智慧と、
ウルトラマンの真摯な行動に感動して、
神永の命を救いました。

光の星の住人は秩序に厳しいですが、
情に篤いところもあるようです。

ウルトラマンの本名はリピア

ウルトラマンは浅見が名付けた仮称です。
彼には光の星での名前がありました。

「リピア」といいます。
それはヒメイワダレソウと同じ名前でした。

ヒメイワダレソウは特定外来種に指定されていて、
「植えてはいけない」といわれていますが、
雑草の駆除で活躍してくれる花です。

その花言葉は誠実・絆・私を理解してくださいなんです。

心理描写が少ないとか、ヒロインに対するセクハラ表現があるなど、
否定的意見も多いシン・ウルトラマンですが、
原典からのオマージュが豊富ですし、
クライマックスの大胆な改変もみごとでした。

私はこの映画を3回観ましたが、
100回観たいと思うくらいに感動しましたよ。
ちなみに劇中でいちばん気に入ったセリフは、
船縁のこの言葉です。

絶望は無駄に人の心を貶める。
希望を持っていた方が気分いいわよ。

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