【セブン】#42「ノンマルトの使者」感想。海底に地球の先住民がいた?

ウルトラセブンのオリジナルアイキャッチ画像
ミケさん

昭和のウルトラシリーズには、
いろんな問題作があるけど、
「ノンマルトの使者」もそのひとつだね。

あんのん君

セブンとウルトラ警備隊の正義を、
根底から覆すようなエピソードだ。
スッキリしない展開だから、
観る人によってはトラウマになるかも知れない。

目次

【セブン】#42「ノンマルトの使者」のあらすじ

海洋調査船シーホース号が停まっていた。
船内ではカマタ隊員が食事をしながら、
魚たちが優雅に泳ぐ海を眺めている。
海は人類にとって第二の故郷であり、
貴重な海底資源が眠る重要な場所だった。
そんななか、ダンとアンヌは休暇をもらい、
浜辺で2人きりのデートを楽しんでいた。
アンヌが砂風呂に入っていると、
見たことのない少年がやって来て、妙なことを言った。
「海底開発をやめないと大変なことになるよ」と。
その直後、沖合いのシーホース号は、
紅蓮の炎に包まれてしまうのであった。

おもな登場人物(敬称略)

モロボシ・ダン(森次晃嗣)
ウルトラ警備隊員。ウルトラアイでセブンに変身する。

キリヤマ(中山昭二)
隊長。38歳にには見えない貫禄を持つ。

フルハシ(石井伊吉)
北海道出身。ウルトラ警備隊きっての武闘派。

アマギ(古谷敏)
名古屋出身。兵器開発が得意。

ソガ(阿知波信介)
九州出身。射撃の名手。

アンヌ(ひし美ゆり子)
本作のヒロイン。普段はメディカルセンターで働いている。

地球防衛軍(TDF)

マナベ参謀(宮川洋一)
真市がかけてきた電話をカセットテープに録音していた。

カマタ隊員(二瓶正也)
シーホース号の乗組員。ノンマルトの攻撃で命を落とす。

登場キャラクターと怪獣(ノンマルト、ガイロス)

別名:地球原人
身長:1メートル70センチ
体重:70キロ
スーツアクター:不明
演者:町田勝紀

別名:蛸怪獣
身長:30メートル
体重:1万トン
出現地:海底
スーツアクター:西京利彦

【セブン】#42「ノンマルトの使者」の感想

このエピソードが名作といわれるのは、
人間のずる賢い本質が垣間見えるのと、
国同士の戦いを想起させる内容だからです。

沖縄出身の金城哲夫さんが書いたので、
太平洋戦争のことを想像する方がいますが、
そういった視点では書かれてないそうです。

金城哲夫さんはこれまでにも、
人間の負の部分に向き合った話を書いていました。

ナメゴンもペダン星人も撃退され、
人類は侵略の危機から逃れることができましたが、
宇宙人の目には身勝手な民族に見えたでしょう。

金城哲夫さんはウルトラシリーズの創始者として、
人間の本質に向き合ううちに、
「正義とは何か」を考えたのかも知れません。

そこで「人間こそが侵略者」という、
この話を生み出したんですよ。

なんとも衝撃的なアイデアですが、
実際のところ、領土や海域をめぐって、
何千年も前から国同士の戦争が起こっています。

そして戦う者が必ず振りかざすのは、
「正義」という名の拳です。

戦争が哀しいのは、
どちらかが完全降伏するまで、
無益な殺戮が続くことなんですよ。

ノンマルトは「自分たちこそ真の地球人」と主張して、
現生人類に攻撃を仕掛けてきましたが、
その第一歩は間違っていますね。

彼らが「真の地球人」たる証拠がないからです。

海難事故で亡くなった真市に、
自分たちの主張を託すのも意味不明ですし、
イギリスの原子力艦を乗っ取るなど、
あまりにも好戦的じゃないですか。

人間とノンマルトで住みわければいい

不毛な戦いをはじめる前に、
お互いの歴史をきちんと調査して、
じっくり対話するのが賢明なやり方ですよ。

戦争なんかするより、
陸は陸、海は海の資源を共有して、
同じ星に棲む種族同士、
うまく発展して行くのが最良だと思います。

もし人間が侵略者だとしたら
いったいどこから来たんでしょう?

ウルトラマンネクサスでは、
M80さそり座星団に住む異星人が、
超新星爆発によってクラゲのような姿となり、
地球にやってきています。

しかし、彼らには、
他星を侵略するような強さはありません。

また、ウルトラマンブレーザーのカナン星人は
母星が戦争で荒廃してしまったので、
地球に移住しようと企んでました。

ノンマルトの主張通りだとすれば、
セブン世界の現生人類は、
来訪者やカナン星人のように、
新天地を求めて地球にやってきたことになります。

そして、双方の間で争いが起き、
「先住民」は海に追いやられてしまったのでしょうか。

私は違うと思います。

もし、人間が宇宙から来た侵略者なら、
もっと高度な科学力を使って、
ノンマルトを殲滅しているはずですから。

この話が後味悪いのは、
キリヤマが人間のダークな部分を見せつけたからです、

彼は何の調査もせずに海底都市を壊滅させ、
「海底はわれわれ人類のものだ!」と叫んでいるんですよ。

このシーンだけ見ると、
ノンマルト側の主張は正しいと思えてしまいます。

金城哲夫さんは視聴者に考えさせるために、
ワザと調査や対話の部分をカットしたのかも知れません。

人間が善なのか、ノンマルトが悪なのか。
それともノンマルトが善で、人間が悪なのか・・・

半世紀以上経った今でも明確な答えは出ていません。

ただひとつわかるのは、
戦争は絶対やってはいけないということです。

【セブン】#42「ノンマルトの使者」の情報

本放送日:1968(昭和43)年7月21日
制作順:41
放送回:42
脚本担当:金城哲夫
音楽:冬木透
主題歌:「ウルトラセブンの歌」みすず児童合唱団、ジ・エコーズ
劇中ナレーション:浦野光
特殊技術:高野宏一
監督:満田かずほ

ミケさん

最後まで読んでくれて、ありがとう。

あんのん君

またの来訪を待っているぞ。

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