妙香、蓼科高原に行ったことはあるか?
風光明媚で有名なところだが、
毒を持つ巨蝶がいるから気をつけろよ。
蓼科高原には行ったことがあるけど、
そんな蝶は見なかったな・・・
きっと山の奥のほうにいるんだよ。
ともあれ、毒にやられないように気をつけないと。
今、我々を取り巻く自然界の一部が、
不思議な身動きを始めようとしています。
そうです。
ここはすべてのバランスが崩れた恐るべき世界なのです。
これから30分、あなたの目はあなたの身体を離れて、
この不思議な時間の中に入っていくのです。
(ウルトラQ22話エンディングナレーション)
ウルトラQ22話のあらすじ
蓼科高原で「雪男」が出現したと話題になった。
由利子は特ダネになると確信して、万城目らと現地に向かうが、
彼女の友人のあや子は「雪男」の正体が婚約者の浩二だという。
1年ほど前、あや子と浩二は蓼科高原を訪れた。
婚前旅行を楽しむ2人だったが、とんでもない悲劇に見舞われた。
浩二はアマゾンにしかいないはずのモルフォ蝶を見つけ、
夢中になって追いかけてしまったのだ。
あや子が慌てて浩二を探しに行くと、そこには巨大な蝶が何匹もいた。
浩二は鱗粉の毒で喉をやられてしまい、水がほしいと訴え続けた。
だが、沼の水を飲んだ浩二は巨人になってしまう。
おもな登場人物(敬称略)
万城目淳(佐原健二)
星川航空のパイロット。怪事件に真摯に向き合う好青年。
戸川一平(西條康彦)
万城目の後輩。おっちょこちょいだが、たまに鋭い勘を発揮。
江戸川由利子(桜井浩子)
毎日新報のカメラマン。怪獣を恐れずに写真を撮る。
関デスク(田島義文)
由利子の上司。仕事の鬼だが人情家。
一の谷博士(江川宇礼雄)
世界的権威の学者。万城目たちの良きアドバイザー。
ゲスト出演
あや子(中真千子)
由利子の親友。蓼科高原で不幸な事件に遭遇。
浩二(野村浩三)
昆虫学者。あや子の婚約者だったが・・・
登場怪獣
巨人
あや子の婚約者の浩二が、
モルフォ蝶の鱗粉で巨大化した姿だ。
昆虫学者で理知的でな人物だったが、
理性を失くして原始人みたいになってしまったんだ。
何かを悲しんでいる表情をするが、
言葉を話すことはできない。
巨蝶モルフォ蝶
ウルトラシリーズ初の昆虫怪獣です。
モルフォ蝶は南米のアマゾンにしか生息していませんが、
どういうわけか蓼科高原に棲みついていました。
アマゾンから日本に蝶が渡るとは考えられません。
この蝶は翅が2メートルもあったので、
宇宙生物の可能性もあります。
ウルトラQ22話「変身」の感想
モルフォ蝶はなぜ日本にいたのか
蓼科高原は長野にあります。
空気もキレイで風光明媚な観光地ですから、
カップルのデートにはピッタリですよね。
あや子は浩二との結婚を1か月後に控えていたので、
恋人時代の楽しい思い出を作りたいと思っていました。
しかしそれは、無残に打ち砕かれてしまいます。
モルフォ蝶の鱗粉を浴びた浩二が、
「巨人」に変身してしまったからでした。
ウルトラQにはこれまで、
巨大モンスターが登場する話が3回ありました。
でも、人間が巨大化したことは一度もなかったんですよ。
「巨人」といえば光の国から来たウルトラマンです。
映画「シン・ウルトラマン」も話題ですし、
ウルトラマンを知らない人はいません。
この話の原案は金城哲夫さんが書かれたんですが、
普通の人間が変身するウルトラマンのネタは、
この時点で出来上がっていたのではないでしょうか。
浩二はモルフォ蝶を追いかけたことがキッカケで、
「巨人」に変身してしまいましたが、
アマゾンにしかいないはずの蝶が、
日本に生息していたのが気になります。
普通に考えてあり得ないんですよ。
日本とアマゾンの距離は2万キロですし、
蝶が移動するのは5000キロくらいが限界だからです。
動画の蝶は別の種類ですが、
こんな小さな昆虫が2万キロも移動するのは無理でしょう。
蓼科高原に生息していたモルフォ蝶は、
アマゾンから移動してきたものではなく、
おそらく宇宙生物でしょうね。
一般的なモルフォ蝶の大きさは、
だいたい7センチ~20センチくらいです。
そもそも成長の終わった昆虫がさらに大きくなるなんて、
おかしいじゃないですか。
モルフォ蝶によく似た宇宙生物が、
蓼科高原で大繁殖したと考えるとつじつまが合います。
あや子の意外なセリフ
とんでもない怪事件に巻き込まれたあや子ですが、
無事に帰ってこれて何よりでした。
彼女は「私はあの人を捨ててしまった」と後悔します。
モルフォ蝶がいるなんて想定外ですし、
誰も悪くないんですから、
自分を責めなくてもいいのではないでしょうか。
恋人思いのあや子でしたが、
クライマックスではパニックになって、
意外な言葉を口走っているんですよ。
お願い、山へ帰って!
もうこれ以上あたしを苦しめないで!
これにはビックリしました。
人間は切羽詰まった状況になると、
隠してある本音が出てしまうのでしょうか?
普通ならこう言いますよね。
お願い、浩二さん!
元のあなたに戻ってちょうだい!
村の皆さんに迷惑をかけるのはやめて!
浩二とあや子は結婚間近のカップルですが、
何か問題を抱えていたのかも知れません。
自然界のアンバランスゾーンよりも、
人間の心の不可解さが印象的なシーンでした。
とはいえ、悪いのは鱗粉をまき散らしたモルフォ蝶です。
このまま放っておくと、
第二、第三の「巨人」が出てきてしまうので、
一斉に駆除してしまいましょう。
浩二は一の谷博士のおかげで元に戻りましたが、
村に被害を与えてしまったので、これからが大変です。
あや子と二人三脚で罪滅ぼしにがんばってください。
これは架空の話ではありません。
あなた自身の話なのです。
もしも、あなたの恋人がアンバランスゾーンの中へ落ちた時、
それでもあなたの愛が変わらないと言えるでしょうか。
(ウルトラQ22話エンディングナレーション)
ウルトラQ22話の基本情報
本放送日:1966(昭和41)年5月29日
制作順:2
脚本ナンバー:2
脚本担当:北沢杏子(原案・金城哲夫)
音楽:宮内國郎
番組ナレーション:石坂浩二
登場怪獣、宇宙人:巨人、巨蝶モルフォ蝶
特技監督:川上景司
監督:梶田興治
視聴率:26.9%
最後まで読んでくれて、ありがとな。
またのご訪問をお待ちしています。