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【ウルトラQ】17話「1/8計画」あらすじと感想。夢の箱庭都市はディストピアだった

妙香、もしお前が1/8に縮小されたら、
箱庭都市「S13地区」の住民になれるぞ。
あの街には納税も労働もないんだ。

そんなユートピアがあるの!?
でも「うまい話には落とし穴」があると思うな。
住民は名前じゃなくて番号で呼ばれるとか・・・

地球上のどこにでも存在するなんの変哲もない街。

だが、世界第一の人口密度を持つこの街では、

今、深刻な戦いが始まろうとしているのです。

これから30分。あなたの目はあなたの身体を離れて、

この不思議な時間の中に入っていくのです。

引用元:ウルトラQ17話(オープニングナレーション)

前回の感想はこちら

目次

ウルトラQ17話のあらすじ

いつもの通勤で山手線を利用した由利子は、
激しいラッシュアワーの人混みに飲まれてしまう。
気がついた彼女は「1/8計画」という看板を見つける。
不思議に思って建物の中に入ると、
大勢の人々が「1/8計画」を役人に申請していた。
「1/8計画」とは人口問題解消の政策だった。
小型化された人々は「S13地区」に暮らすことになる。
そこは納税などの義務が一切ない世界だった。
由利子は「S13地区」移住希望者と間違えられ、
「人間縮小機」に入れられてしまう。

おもな登場人物(敬称略)

万城目淳(佐原健二)

星川航空のパイロット。怪事件に真摯に向き合う好青年。

戸川一平(西條康彦)

万城目の後輩。おっちょこちょいだが、たまに鋭い勘を発揮。

江戸川由利子(桜井浩子)

毎日新報のカメラマン。怪獣を恐れずに写真を撮る。

関デスク(田島義文)

由利子の上司。仕事の鬼だが人情家。※電話の声のみ

ゲスト出演

箱庭都市の区長(村上冬樹)

不気味な雰囲気の人物。

縮小化の希望者(田中順一)

由利子の脱出に協力した男性。

登場怪獣

1/8人間

政府の人口対策によって1/8に縮小された人々のことだ。
特別な箱庭都市の住民に選ばれると、
衣食住の保証や税金と労働の免除があるんだ。
だが、縮小されたら現実世界には戻れない。
死亡扱いになってしまうぞ。
何気にホラーな話だな・・・

ウルトラQ17話「1/8計画」の感想

出典:ウルトラQ17話

マイナンバーカードを思い出した

由利子は「1/8計画」の希望者と間違えられて、

ミニチュアサイズにされてしまいましたが、

この話は一寸法師をモチーフにしたと考えられます。

これまでに金城哲夫さんが書いた話は、

巨大化ネタばかりでした。

野猿。

花。

そしてモグラですね。

巨大化ばかりだとマンネリになってしまうので、

視点を逆にしてみたんでしょう。

この話に異形の怪獣は出てきませんが、

社会問題をフォーカスしていたので、

妙にリアリティがあって怖かったです。

由利子は1/8に縮小された時、

「103924」という番号をつけられました。

これはマイナンバーにソックリです。

マイナンバーの場合は12ケタですが、

国民を識別するという点ではまったく同じじゃないですか。。

私たちが暮らす世界に人間を縮小する技術はありません。

でも、人口問題は年々深刻になっています。

1966年の世界の人口は約30億でしたが、

56年後の現在は76億を突破しています。

金城哲夫さんは先見の明を持つ天才だったので、

半世紀先の未来も見通していたんです。

「1/8計画」の謳い文句は、

納税や労働がまったくない箱庭都市で、

人々が自由に暮らせるというものですが、

なんだか胡散臭いものを感じます。

それは「S13地区」の区長が、

こんなセリフを言ったからでした。

あなたは新しい社会の一員になったんだから、

昔のことは、もう忘れなければいかん。

そう、あなたがさっきまでいた不平等で争いごとの多い社会。

引用元:ウルトラQ17話(S13地区長のセリフ)

現実世界の記憶をキレイさっぱり忘れて、

『S13地区の住民になれ』というんですよ。

納税や労働がない代わりに、

思想統制をするのかも知れません。

だから住民に固有の名前を持たせないんです。

いちばん衝撃的だったのは「S13地区」に移住すると、

現実世界で死亡扱いになることでした。

戸籍や住民票を「S13地区」に移せば問題ないのに、

完全に抹消してしまうのはおかしいです。

万城目が冷たかった理由

もうひとつ驚いたのは、

万城目が由利子に冷たかったことです。

いつも一緒にいて、怪事件の解決にあたっていたのに、

なぜ豹変してしまったんでしょうか。

おそらく「1/8計画」に参加した人とは、

接点を持ってはいけないという暗黙のルールがあるんでしょう。

1/8に縮小された「S13地区」は、

ある意味「異世界」のような場所ですし、

現実の街の様子や社会構成をそのままコピーしているので、

双方で交流してしまうと混乱します。

国民全員を1/8サイズにしてしまえば、

現実世界で死亡扱いになるということはなくなりますが、

そうなるまでには膨大な年月がかかりますね。

しかし「1/8計画」は希望者が殺到して、

「S13地区」でも深刻な人口過密が発生していました。

問題は何も解決していなかったんです。

人間のサイズを縮小するのではなく、

ひとつの都市への過集中を避けるという政策のほうが、

現実的で上手く行きますよ。

ウルトラQは政治ドラマじゃないので、

そういった政策を実施するシーンはありませんでしたが、

本当に金城哲夫さんの視点は鋭いです。

間違って縮小化された由利子は、

元に戻ることができました。

実は箱庭都市「S13地区」で起きた出来事は、

彼女が見た悪夢だったんです。

いわゆる夢オチってことですが、

そうとも言い切れない感じがする話でした。

マイナンバー制度は実現しましたからね。

古い記録によると、

巨石文化時代の人類は身の丈18メートル。

身の幅が5メートルもあったという。

現代の人類はいつから、そして誰の手によって、

どういう理由で小さくなったのか。

それはまだ謎のままである。

引用元:ウルトラQ17話(エンディングナレーション)

ウルトラQ17話の基本情報

  • 本放送日:1966(昭和41)年4月24日
  • 制作順:8
  • 脚本ナンバー:9
  • 脚本担当:金城哲夫
  • 登場怪獣、宇宙人:1/8人間
  • 特技監督:有川貞昌
  • 監督:円谷一
  • 番組ナレーション:石坂浩二
  • 視聴率:31.7%

最後まで読んでくれて、ありがとな。

またのご訪問をお待ちしています。

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